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東京都板橋区の歴史
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所在地 板橋区大谷口2-8-7 (西光寺)

 大谷口の代かき地蔵
 そのむかし、大谷口村に日頃から仏様を深く信仰していた心やさしいお百姓さんがいました。明日は村中あげて一せいに田植えをすることになっていました。お百姓さんは、明日の田植えに間に合うように、汗を流して一しょうけんめい働きました。しかし、あたりがうす暗くなっても、代かきは半分もできていませんでした。お百姓さんは、あぜに立って、もう暗くなってしまった田んぼを眺めながら「ああ困った、明日の田植えをどうしよう・・・」と、大ため息をしていると、どこからともなく若いお坊さんがちかよってきて
「何かお困りのごようすですネ、代かきが終えなかったんですか・・・」と、やさしく話しかけてくださったかと思うと、いずれへか去っていってしまいました。
 一夜あけて、田んぼに来てみると、びっくりしました。さしもの広い田んぼは、きれいに代かきがすまされて、朝日がさんさんと田の面を照らしていました。驚いたお百姓さんは、あたりを見わたすと、田んぼの泥土がてんてんと、田から丘の草原につづいているのに気づきました。泥のあとをたどると、丘の小さなお堂にまでつづいています。お百姓さんは、不思議に思いながら、お堂のとびらを開けてみますと、中に立っていらっしゃる石のお地蔵さんは、腰のあたりまで泥だらけでした。
 お百姓さんは、お地蔵さんが一晩のうちに代をかいてくださったにちがいないと思って涙を流してお礼を申し上げました。お地蔵さんはやさしいお顔をして、お百姓さんをじっと見おろしていました。
 大谷口村の人びとは、それから後、このお地蔵さんを「代かき地蔵尊」とあがめて、あつくお祭りをいたしました。
 さいこうじ






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